たたろぐ。: 【2012春】『黄昏乙女×アムネジア』を観て

度重なる増築により迷路のように入り組んだ私立誠教学園。中等部一年の新谷貞一（にいやていいち）はある日、旧校舎で迷い偶然たどりついた部屋で、不思議な雰囲気を纏う少女・庚夕子（かのえゆうこ）と出会う。彼女は自分を“旧校舎の幽霊”だと言う。自分の過去を思い出せない夕子の為、貞一と夕子は「怪異調査部」を立ち上げ、この学園で語り継がれる数々の怪異を解き明かしていく。

旧校舎に潜む謎の幽霊少女・夕子さんの秘密に迫らんと怪異と戦う新谷貞一の物語……といいつつも実際は夕子さんと貞一くんの幽玄浪漫譚（いちゃらぶ❤ストーリー）です。

しかしこの『アムネジア』、ほんっっっっとうに面白かった！！

まずストーリーが素晴らしい！
貞一と夕子さんがいちゃいちゃしながらも、学園に現れる数々の怪異の謎を解き明かしていく序盤戦。怪異調査部のメンバーたちの賑やかな日常が本当に楽しい。他の人からは見えないのをいいことに好き放題する天真爛漫な夕子さん、それに翻弄される貞一とクールに（この時はまだ）突っ込む霧絵、そして一人夕子さんが見えず蚊帳の外にも関わらず元気印を振りまく小此木ちゃん。俺も怪異調査部入りてえなぁ……(遠い目)
やがて貞一は、影・夕子さんの存在に気づき、次第に夕子さんの過去の秘密に迫っていきます。夕子さんが絶命の間際に感じた絶望と葛藤、生まれた影・夕子、感情と記憶の喪失、そして夕子さんと貞一の2人の前に立ちはだかる過酷な試練……
夕子さんの過去を軸に、数々のサブストーリーが綿密に編みこまれ重なりあい、クライマックスに向けて急展開していく物語はもはや芸術。最終回では恐らく誰もが予想していたであろう展開と、これまた誰もが予想していたであろうラストでしたが、これまでに彼らが積み重ねてきた群像劇を観てきたからこそ、静かで深い感動を与えてくれます。

それにはアムネジアの魅力的なキャラクターたちが一役も二役も買ってますね！まず夕子さんはオンリーワンヒロインとして君臨してくれました。ハーレムものが隆盛する昨今、強力な大エースさえ要すればあと10年は戦えるという好例（何を言ってるんだ）黒髪ロング色白美肌に巨大まんま肉まん×２を携えた上、身に纏うはアンティークセーラー黒タイツなじゃれたがりくっつきたがりの天真爛漫美少女……白旗！どう戦えというのだよ、ビグザムってレベルじゃない。今期最強ヒロインは夕子さんで決定だｒ……あ、いや、卜部がいたんだった……む、甲乙つけがたい。
脇役の小此木ちゃんと霧絵さんもいい味出してますね。小此木ちゃんは最初出てきた時はWORKING!!山田系のウザキャラなのか？と思ったけど最終的にそれこそ山田系な可愛い感じに落ち着いた！福圓さんの為せる技でもありますね。霧江さんは始めこそツンツンしてたものの次第に貞一と夕子を羨み牛乳を飲む毎日……ツンジェラですよ、ツンジェラ！（ツンツンのちジェラシー）
ちなみに余談ですが妖狐×僕SSで野ばら師匠に出会って以降、ツンデレ派生系の新ジャンル開拓に余年がない私。今回はなかなかの収穫。
貞一くんも夕子さんに振り回されてると軟派な優男風ですが、意外と芯が通ってて気が回るいい男。彼が主人公で良かった。

学園怪異系ボーイミーツガールものとしては近年では『化物語』が有名ですが、このアムネジア、至る所にその化物語のオマージュが散見されたように思います。ビビッドな色彩の背景だったり大胆な構図だったりあとシャフ度もいくらかあったような……パクリという訳ではなくアムネジアのちょっと時代を感じさせる舞台に合わせて上手くアレンジされていたと思います。作品の妖艶な雰囲気によく合っていてとても良かったですね。
あとED！夕子さん口パクしてるんだから歌も夕子さん役の原由実さんが歌えばいいのに……と思っていたらまさかこんな使い方をしてくるとは！憎い演出でしたねー11話。凄く良かった！

とまぁ個人的に大絶賛の本作でした。2期期待！……といつもなら言うところなんですけどね、とても綺麗にまとまってるのでこれで終わりでもいいかな、と。あ、でも、貞一と夕子さんのその後のいちゃいちゃ回がもう1話くらい見れたらおとなしく成仏するよ！

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