ページ

2012/06/27

【2012春】『Fate/Zero』を観て

奇跡を叶える『聖杯』の力を追い求め、七人の魔術師が七人の英霊を召喚し、最後の一人になるまで戦いを繰り広げる究極の決闘劇……聖杯戦争。その聖杯戦争の開幕に先駆けて、各地で参加者たちが選定が始まった。8年前。ドイツにあるアインツベルン家の居城で、ひとりの女子の産声があがった。イリヤスフィールと名付けられた娘を抱く父親・衛宮切嗣もその一人であった。
昨年の秋クール放送の1st seasonの続編、そして完結編。2011秋のエントリーではまとめ忘れてましたので今回まとめて。

……いやぁ面白かったなぁ……(しみじみ)

この『Fate/Zero』は前作『Fate/stay night』の前日譚になります。『Stay night』(以下SN)の主人公・衛宮士郎の(養)父・衛宮切嗣に焦点を当てたストーリー。公式で紹介されているように『"ゼロ"に至る物語』、つまりSNの第1話に至るまでのお話ということになるのです。が、実際視聴していると成程、希望や願望、理想や信念などいろーんなものが"ゼロ"に帰っていくのがわかります。そう、これは正に絶望の物語

聖杯を巡って争う7組のマスターとサーヴァントのサバイバル劇を主軸としながら(特に1st season)も、物語は願いを叶えるために自身の正義を執行し続ける主人公・切嗣を追っていきます。

「争いのない世界」という理想郷の実現を目指す。一見すると正義の味方が掲げる大義名分に聞こえますが、それを為す切嗣はもはや外道中の外道、悪一色というダークヒーローぶり。
かつて「一人でも多くの人を救いたい」と、そのために父親にさえ躊躇わずに引き金を引いた切嗣。以降彼は、まさに「一人でも多く」と最大多数の最大幸福を善とし、それにそぐわない選択肢を尽く排除してきました。それを正義と信じて。しかし肉親のように慕ったナタリアを同じように手にかけた時、正義を志した純粋な少年の心は絶望の底に突き落とされたのでしょう。この世に正義などありはしないのだと。
最後の望みを託した聖杯も、切嗣の願いを叶えるにはあまりに不完全でした。ならばこれ以上聖杯戦争という争いを根絶しようと聖杯の破壊を試みるも、聖杯は何故か綺麗に応え、冬木の街を壊滅させるという悲劇……

放送中いろんなところで外道外道言われてた切嗣ですが、いやいやそうじゃない。ホントの外道はあんただよ、虚淵さん!
余談ですが昨年のまどマギで一躍脚光を浴びた彼ですが、確かにまどマギでもほむらに対する絶望の外道っぷりもなかなかクルものがありましたよね……。まどマギでの起用がこのZeroの原作を評価されてとのことなので成程納得です。

虚淵玄の謀略(笑)に幾度も耐えてきた切嗣も、聖杯による冬木壊滅に心が崩壊寸前だったことでしょう。瓦礫の下から士郎を救い出し、「救われた」、と。絶望の地獄に瞬いた一筋の希望の光が衛宮士郎であり、そして物語はSNへと紡がれていく……。

Fate/Zeroを切嗣の物語と考えた時に、やはり15話と19話がその真骨頂と言える気がします、別名ネ申回。といっても安心と信頼の絶望回です。ぐうの音も出ないとはよく言いますがむしろぐうの音しか出ない絶望(と葛藤)があなたをお待ちしております(ニッコリ)
最終話で士郎を発見するシーンもここに加えるべきなのでしょうが、個人的にはあれちょっと不満なんですよ。あのシーン、なんで士郎視点にしたんでしょうね……精神を崩壊させながらも最後の希望を手にする切嗣を、その救済とも言える瞬間をしっかりと描いて欲しかった!切嗣の救済を客観的に見届けるってなぜそんな冷めた演出を……シーズン通じて好きな物語だっただけに個人的にはちょっと納得のいかないラストでしたね。

切嗣の影に隠れて、切嗣的にも視聴者的にもすっかり空気なセイバーさんでしたが、こちらも"ゼロ"に至る素敵な絶望劇だったと思いますよ(ニッコリ)王として民のために孤高に戦い続けてきた尊厳を打ち砕かれたセイバー。聖杯破壊後、カムランの丘で失意に暮れるセイバーにもまた一筋の光が(恐らく士郎によって)もたらされるシーンはなかなかグッときました。物語を通してその正義のあり方も含めて決して相容れなかった切嗣とセイバーでしたが、事の顛末を見るに凄く似た境遇にあったとも言えるのかもしれませんね。

ところで最終話近くで聖杯の問答に切嗣が答えるシーン。「300人と200人、どっちを救うのか」という量的選択の なんちゃらを見て、サンデル先生の正義教室(こんな感じの名前じゃなかったっけ?笑)を思い出しました。列車の進路をどうのこうのってやつ。自分は別にサ ンデルさんの信奉者でもないしあの講義を聞いたわけでも著作を読んだわけでもないのでよく知らないのですが、彼ならこの切嗣の葛藤にどういう答えをもたら してくれたんでしょうね。



さぁストーリーに関してはこれくらいにして。

Fate/Zeroはその作画、特に戦闘シーン描写が非常に優れていたこともまたその人気の1つの要因になったと思います!とりわけバーサーカーの駆った戦闘機やセイバーのバイクのような機械描写に物凄い気合が入ってます。スタッフの偉い人がマシン好きだったに違いない。おかげで2期第1話(14話)は「あれ…見るアニメ間違えたかな…」と錯覚するほど。ギルガメッシュの戦闘艇にはちょっと笑っちゃいましたが。
戦闘シーンは何気にカメラワーク凄いですよね。1期13話ラストとか特にもうね。場にあった音楽とあいまって、どの戦闘シーンも臨場感と緊迫感に溢れる素晴らしいものになっていると感じます。たまらん!

あとキャラ造形の豊かさというんでしょうか、今回の第4次聖杯戦争はマスターもサーヴァントも実に良いキャラクターの面々。前回出場のセイバーランサーアーチャーはともかく、ライダーがもう!征服王イスカンダル、アレキサンダー大王の名に相応しい何とも豪快でスケールのでかい益荒男っぷり。たまらん。その横にくっついてるのがぴよぴよのウェイバーちゃんというのがまたたまらん。始めはみみっちいコンプレックスにまみれた小さい男だな、と思ってたら、もう見事に成長しましたね。Zeroの正道主人公は間違いなくウェイバーちゃんです。
キャスター陣営もまたかなりのキワモノでしたがいい味出してましたね。2人が宗教観で共感しあうところなんかは見ていて変に納得してしまいました。しかし7陣営中、恐らく最も幸福な最後を遂げたのが彼らに違いない、というのがこの作品の絶望鬼畜っぷりを象徴しているのかもしれません。
一方バーサーカーな方々の噛ませ犬感はもう見てられなかったです。またそれが綺麗とギルさんの愉悦の何たるかのために手のひらの上で踊らされている感がもうね。ランスロットさんはともかく。



物語がしっかり作りこまれている、設定がしっかりしている、という反面、2クールという時間的制約の中では語り尽くせない部分もあるわけで……。アンリマユって何よー?とかなんで聖杯さんは綺礼の願望(?)を叶えたのか?とか全裸o…じゃない英雄王はなんで受肉を果たしたの?とかそういや聖杯戦争は60年周期じゃなかったの?とかそもそも聖杯壊れたんじゃねーの?とか……原作読めって話なんでしょうけどね。そうだ、wikipediaに行こう(圧倒的手間省略)
そういやBD・DVDでは未放送エピソードが追加されてるんでしたね。納得の面白さだったしBOX販売するしでこの際買っちゃおうかな……働き出して給料も入ることですしおすし。社会人最高だな!(まだ働きもしていないニートの愚考)



とまあ例のごとく長くなりました作品別エントリーにしてよかったと安堵)が、それだけこのFate/Zeroが素晴らしい作品だったという証拠ですね!非常に良く完成された前日譚だったと思います。
これから見るって方は是非前作SNから見てみてね。より一層楽しめると思いますよ!TVシリーズ全24話。長いよって方は一応劇場版もあるので(ストーリーが別ルートだけど)。

自分もSNもっかい見直さなきゃだな!設定拾い切るためには少し古いけど原作に手を出してみるのもありかしら。もう18歳(と96ヶ月)だし。

アニメ公式サイト

『Fate/Zero』 Blu-ray Disc Box Ⅰ『Fate/Zero』 Blu-ray Disc Box Ⅰ

Fate/Zero material (書籍) Fate/stay night Blu-ray BOX <期間限定生産> 劇場版 Fate/stay night UNLIMITED BLADE WORKS (初回限定版) [Blu-ray] Fate/Zero アニメビジュアルガイド I oath sign(期間生産限定盤)(DVD付)
by G-Tools



2012春アニメ感想まとめ



0 件のコメント:

コメントを投稿

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...