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2012/04/17

橋下徹・堺屋太一『体制維新―大阪都』を読んで




今回の本はこちら。
なんとこの自転車アニメオタクの理系人間が政治の本なんて読むから、今日宮崎であられが降ったんじゃないかともっぱらの噂。槍ではなかっただけ勘弁してやろう。



冗談はさておき、
橋下さんにはここ数年とても注目していました。大阪府知事に当選した頃には、大阪という縁もゆかりもない土地だったので「またTV人気の有名人が…」程度にしか思っていなかったのですが、どうもそうじゃないようだと。ものすごいエネルギーを以て何かやっている・やろうとしているぞ?さらに大阪の選挙も大変盛り上がっていて、この政治低迷の平成にどうしてこんなことになっているんだろう?と純粋に疑問を抱いたのが、この本を手にとったきっかけでした。


エネルギーがいるわけですよね、橋本さんがやろうとしていることは正に『既存システムの大改革』なのですから。


大阪府。全国で2番目に小さな都道府県でありながら880万人もの人間が住み、東京に次ぐ全国第2位の県内総生産を誇る西日本の要。その中心地大阪市は名実共に日本のNo.2の都市でありながらも、世界における存在感は驚くほどに無い。

橋下さんはこの原因を、大阪府と大阪市という巨大な二重行政にあるとしています。
狭い面積の中で巨額の価値を生み出しているのですから、大阪府全体の商業、あるいは行政機構は、その中心である大阪市が密接にリンクし、影響を及ぼしていることは明らか。しかし大阪市の行政が、大阪府のそれとは完全に独立して存在していることで、大阪全体の舵取りが非常に困難になっていると。
またこのようなマクロ視点だけでなくミクロ視点、大阪市内に目を向けても、人口200万を優に超える巨大地域を大阪市という単一の自治体が治めていることにも無理があると訴えます。他の政令指定都市同様、『区』による区分けは存在していますが、区長が公選制なわけでもなく、区議会すら存在しないので、言ってみれば市役所の出先機関が増えただけ。同じ都市といえど非常に多様で暮らしが不均一に広がっているのに、それを政治・行政まで組み上げることは不可能だと。

この二重行政の無駄と弊害を無くし、大阪を改革することが橋下さんの狙いなのですね。
東京のように、特別区で住民に近い政治と行政サービスを、それを束ねる都が全体のマネジメントと国際都市間競争を戦うビジョンを、と非常にわかりやすい将来像が示されています。

自分は政治家でもなければ行政官でもないので、この施策が一体どんな結果を生むことにになるのか、に関しては当然の如く何も言えません。
ですが大まかでも具体的なビジョンがあることの説得力というものはやはり凄いですね。選挙を戦略的に使ってるように見えますもんね。
「政治は舵取り。詳細な議論は行政も交えての仕事」と本書の中で何度も出てきますが、成程そうかと納得しました。正直、新聞やTVの政治ニュースを見てても、政治が何をするのかがあまり良くわからなかったので、そういう意味では今回この本を読んで初めて、政治とは何か行政とは何かを学んだ気がします。

重箱の角をつつくような批判をするだけの政治家には説得力もなく信用も出来ないのはこういうことかと。国会新喜劇を見てても何も伝わらないですもんね。自民党が民主党になろうが変わらん訳です。



橋下さんにはこれからも大いに期待している自分ですが、これだけ支持できるのはやはり自分が若い世代の人間だからかな、という気もします。
生まれてこの方延々と続く不況(不況というよりもはや普通ですが)、政治の低迷、失われた20年(こないだまで10年だったのに…)の中で先行きの不透明感、閉塞感に包まれながら育ってきた自分にとっては、システムを変え、これを突破しようとすることへの期待感といったらないですね。ジリ貧見え見えの現状維持で割を食うのはどう考えても自分たちですからね。
一昔前だったり独裁政権下だったりしたら暴動の一つや二つ起きているところかもしれませんが、21世紀の民主主義国家・日本ですもの。選挙によってきちんと改革が行われようとする辺りが流石。



散々褒め称えてきた今回のエントリーですが最後に一つだけ。

橋下さん、言いたいことはわかりますがいくらなんでも冗長過ぎ!(笑)同じ事何回繰り返すの?ってくらい、悪く言えばしつこいです。本書は全300ページですが、簡潔にまとめたら恐らく100ページで収まるんじゃ?50枚の紙束じゃ新書としてカッコがつかないってのもわかるけど……。しつこい通り越して読んでて飽きました(笑)

おかげでメッセージははっきりと伝わったけどもね。


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